機器修理

2019.6.2 食品検査用の「ストマッカー400T;パドル式破砕機」の修理を経験しました。

 日本で独占的に販売しているのは、オルガノ㈱ですが、なんと、取扱説明書に、修理等は「販売店に(相談)」と書かれているのに点検が出来ないとのことです!

しかも、昨年度購入した後継機「エクスナイザー400」ですら、修理しないとのことです。??? そして、現職場には、廃棄を待つストマッカー400Tが・・・。

予備機にするとしても、廃棄品に高いお金をかけて修理するわけにはいきません。あくまで、技術的な興味での修理です。休日ホームセンターに行き、使えそうなゴム素材を発見してしまいました。それで、延べ3時間で劣化したゴムを交換しました。週明けの火曜日、接着剤が固まったのを確認して、400Tの修理を行いました。修理時間は延べ約4時間でした。

破損したのは、内部の駆動用部品(コネクタと命名されています)のゴム部分です。下の写真の部品です。ゴムが破断してしまいました。ゴムは金属ほどの耐久性はありませんから、いわば消耗品です。しかし、輸入ものなので、値段が非常に高額です。2個交換する場合、部品代だけで52,000円!もします。これでは大概、機器更新になることでしょう。

 

 

ゴム部分の修理;再生を次に示します。本当はウレタンゴムの丸棒が良かったのですが、簡単には入手できません。それで、ホームセンターで購入できる汎用のEPDMゴムで修理を行いました。この素材は引き裂き強度が弱いとのことなので、ワイヤーをかけることにしました。 

(本HPを参考に修理をされる方へ  コネクタと呼ばれる写真の部品を購入できても、ネットで検索する限り、スプリングピンの刺さっている金具部分がありません。ですから、ベアリングプーラーでベアリングを抜く必要があります。なお、マニュアルに何も書かれていなくて少し苦戦しましたが、下の写真の通り、モーターを台座から外して修理することをお薦めします。作業性が違いますから!)

左の写真で、右が素材のEPDMゴム棒

左上が、パドル側ソケットに入れるべく加工中の物

左下が、パドル側ソケットの、破断したゴムを取り除いたもの

 

 

 

 

 

ここで、ゴムの破断箇所を考えてみます。モーターの回転運動をパドルの前後の動きに変換する機構に「リンク機構」を用いています。これは、中学の技術家庭科で学ぶミシンの針の動きでも紹介されているように、機械構造の基本中の基本です。 

ストマッカーでは、教科書的なリンク機構と1点異なっている部分がありました。図を見てください。教科書に書かれているものでは、パドル部分との接続点(J点)にベアリングのような部品が配置されていると思いますが、ストマッカーでは、ここ(J点)に回転するような部品がありません。その代わり、ゴムがたわむことで、同じ動きを得ていました。「少ない部品で同じ動き」というコンセプトは見事かもしれませんが、ゴムは大丈夫でしょうか。

図の下にゴムの断面を単純化して示していますが、パドル側のソケット部分のゴムの量が少ないのが気になります。破断するとしたら、この部分です。最新型のエクスナイザー400の説明書には、1000万回もの動作でエラーメッセージが表示されるとありますが、勘違いだと思います。その理由は、説明書の別のページに、毎年交換を推奨する部品として、このゴム部品が載っているからです。