PPCPsとは

PPCPs(Pharmaceuticals and personal care products; 医薬品や化粧品などに含まれる物質の総称)
 読んで字のごとく、漠然とした多種類の物質を指しており、種類も用途も様々で、生活環境から出されることから、ノンポイントな汚染源由来と考えることができます。環境分析では、1980年代にヨーロッパを中心に研究が始まり、その後日本においても動物医薬品などが検出され、関心が持たれるに到りました。

 抗生物質、抗菌剤、抗高脂血症剤、芳香剤などが対象物質であるが、
環境中での挙動や、水源への混入程度とその影響など、分かっていないことが多い。PPCPsの中に内分泌かく乱物質が含まれていることや、濃度は低いものの、生理活性を有する物質があることから、現状把握がまず必要である。水源汚染とその影響の点から最近注目されているが、水生生物へのリスクも危惧されています。

 上水場では、塩素を添加する工程があり、塩素添加により分解される物質もある。また、高度処理を行なっている上水場で活性炭処理やオゾン処理を併用している場合、これらににより、除去・分解される物質もある。
 難分解性で、環境中に蓄積されるものや、生態系への影響が危惧されるものなどもあり、より詳しい調査が必要になると言われている。


 多種多様なPPCPsから、幾つかを抜粋すると次のようになります。(成分名などは、報告書に記載のあるものを抜粋しましたが、これは、ほんの一部ということです)


 動物用医薬品
    抗生物質、ホルモン剤など、動物用医薬品は、人用よりも使用量が多く、
    一部のものは、家畜排泄物から製造した肥料(コンポスト)から検出されている現状がある。

 人用医薬品など
    
解熱鎮痛消炎剤(アスピリン、イブプロフェン)
    血圧降下剤
    消化性潰瘍用剤
    血管拡張剤
    精神神経用剤
    抗てんかん剤 カルパマゼピン
    ?ブロッカー プロプラノール
    抗菌剤   サルファ剤  スルファジメトキシン、スルファメトキサゾール
    抗生物質  タイロシン、テトラサイクリン
    日焼け止め
    毛髪製品
    芳香剤

    


 これらのほか、ベンゾトリアゾール系物質は、紫外線吸収剤として、プラスチックスの劣化防止に汎用され、環境中から検出されているなど、今後も問題視される物質が出てくることは間違いありません。そのうちでも次のPFCsとBFRsは、特に報告例の多いものです。


PFCs( Perfluorocompounds )
有機フッ素系化合物。 撥水剤や防汚剤などとして広く使われている
    PFOA; パーフルオロオクタン酸 ・・・ふっ素樹脂製造時の反応の補助剤
    PFOS;パーフルオロオクタンスルホン酸塩・・・表面処理剤や界面活性剤として使用されている


BFRs(Brominated Flame Retardants)

臭素系難燃剤。 OA機器や、建築材料、カーテンやシーツ材に広く使われている。重合型と添加型があるが、添加型の難燃剤は、環境中に遊離する可能性がある。PBDEsの不純物に臭素化ダイオキシン類が含まれることや、野焼き等により生成することも問題視されている。

   TBBPA;テトラブロモビスフェノールA
   PBDEs;ポリ臭化ジフェニールエーテル
   HBCDs;ヘキサブロモシクロドデカン
   PBBs;ポリ臭素化ビフェニル