UY-807PP真空管アンプ

UY-807を使用したプシュプルモノラルアンプを製作しました。製作のきっかけはYouTubeでお馴染みの宮甚商店さんです。私らよりも丁度10年位先輩で真空管アンプやアマチュア無線機器に矢鱈詳しいオッサンです。宮甚さんはこんなことを言ってます。
○ 世の中WE300BだRCA2A3だとか矢鱈高価な真空管ばかり持て囃されているが、そんなもん変わりゃしねえよ。
○ 定年過ぎたら無駄な金使わずにプアエンドオーディオを目指した方が良い。
○ この頃の若いもんはWikipediaの知識だけで意見(YouTubeのコメント)するが、自分の体験でものを言え。
ってホント豪快なオッサンでこんな人が近くにいてくれたらいいなと思ってます。
と言う訳で、私も洗脳され、今までバカにしていた真空管UY-807がお宝に見えてきて、私の中では300Bや2A3がブルジョワな球に見えてきました。やはり庶民の球でパワーがあり、音も良いと言えばUY-807が筆頭ではないでしょうか。
「トッププレートの真空管なんてかっこ悪い」とか「3極管以外は球じやない」とか「それって、送信菅じゃないの」とかの周囲の雑音は聞いてはいけません。ここはプアエンドを目指しましょう。
それとUY-807の良いところは、アマチュア無線仲間や、私の場合は職場の仲間の誰かが必ず持っていると言う球と言うことです。(頼めばタダで入手することが可能な駄球と言うことです。)

 

製作資金

製作は決まりましたが、お金は掛けられませんので300B真空管アンプ(300BPP真空管アンプの頁参照)を分解することにしました。実はこの300Bのプシュプルステレオアンプですが、一寸移動させなければならないことがありまして持ち上げようとしたところゴム足が床にくっ付いてしまったのか全然動きません。しかし、よくよく見たら只重いだけでした。相手はツインモノのステレオアンプです。重量は30Kg程度あります。シャーシだけでも4、5Kgで贅沢な作りではあるのですが、今となっては動かせないのに場所ばっかり必要なアホな機械になってしまってます。60歳を超えた私には、もう必要ありません。
これを分解してモノラルアンプ2台にすればギリ持ち運べる重量になりそうです。それと300Bが不必要になりますから予備球を含め売却すればある程度の金額になりそうです。新しいシャーシやCR類は新規に購入する必要があるので資金は必要です。(→結構な値段で売却できた。HiFi堂さんありがとう)

↑ 今回使用した真空管です。なんたって箱が良いです。ところで東芝807のHi-Sって何だろう?

回路設計

宮甚さんが師と仰ぐ上杉佳郎さんの設計方針及び私の好きな真空管アンプQUADⅡの思想により、次のようなアンプとしました。
① 回路構成はQUADⅡをそのまま使います。それとQUADⅡの思想である小型コンパクトなアンプにしたいと思います。
② 上杉佳郎さんもQUADⅡが好きらしく、回路の解説を行い、自分でもコピーを製作し雑誌等で紹介しています。ここではこれらコピーを参考にしています。ラジオ技術誌1968年8月号に記事がある様です。
③ UY-807は庶民の球で、かつ送信菅ですからプレート電圧は球を傷めない程度に高い値とします。(あまり大切にして弱々しい音にしない)プレート損失の上昇分は、電流を少し下げたいと思います。
④ 負帰還は、終段管をカソード負帰還(専用巻線がないので出力トランスの2次巻線から帰還します。4Ω端子をアーし、16Ω端子と0Ω端子をそれぞれ出力管のカソードに帰還します。)それと、オーバーオールの負帰還は専用負帰還巻線から初段のカソードに帰還します。上杉佳郎さんに言わせると5極管やビーム管はUL接続(SGへの負帰還)またはカソード負帰還が必須だそうです。(QUADⅡは出力トランスに専用のカソード巻線があるんですけどね)
⑤ 終段のスクリーングリッド電源は真面目に作る。(安易なデカップリング抵抗とコンデンサーのみにしない)リークのアンプではスクリーングリッド電圧を安定化したりしています。それほどスクリーングリッドは重要と言うことでしょうか。本機では別巻線から低圧を作成し、低インピーダンスの電源でスクリーングリッドに供給したいと思います。(巻線の関係で規格値の300Vを多少超えてしまいますが、真空管ならこういう使い方もありだと思います。(スクリーングリッドは、グリッドとは言いながら第2のプレートですよね)
⑥ 初段管は6SH7にしました。上杉佳郎さんが好きな球でもあります。メタル管で性能は良いと思いますが、807同様見た目が悪く人気がありません。ここでは名?より実を取りました。回路定数は上杉佳郎さんのものをパクりました。(宮甚さんもよくパクっているみたいです。)

回路図

↑ 基本はQUADⅡで回路定数は上杉佳郎さんです。
なお、B電圧回路は2系統製作しスクリーングリッド電圧を別系統としました。音質に対する効果はどれ程かは分かりません。最初、高耐圧のMOSFETで安定化しようとも思いましたが、半導体を使うのを必要最低限しようと思い止めました。(MicrsoftCopilotさんからも助言を受けそうしました)
出力トランスの2次側から出力管のカソードに負帰還を掛けている関係上微弱な直流がスピーカー端子に発生します。上杉佳郎さんは微弱なので問題ないと言ってます。しかし、この回路は位相を間違い安く素人には勧めないそうです。2次巻き線の巻き始め(正相)は0Ω端子だったんですね。タムラのカタログに記載がありました。

上杉佳郎語録

◎ KT88は太くてどっしりした形状でサウンド面でもこうした差が表れる、は迷信だ。
◎ 多極管を使用しているパワーアンプで、名機と呼ばれる製品は、局部負帰還が必須となっている。
◎ パワー管は直熱3極管がベストだ、と決めつけるな。
◎ 私は、1人で持てないような超重量級アンプは嫌いだ。
◎ シングル出力トランスのパーマロイ人気が高い様だが何で? オリエントコアの方が価格が安く、性能も高い場合もある。
◎ 多量のNFBが可能なアンプでも、音楽再生が目的なら、14dB程度で十分だ。
◎ 私の好きな球はEL34、6L6GC、6BQ5、KT88だ。300Bを使ったから音が良いなんてナンセンス。
◎ NFBを罪悪視する人たちがいるが、その方々は大抵理論に明るくない。
◎ 私は試作機のシャーシは自作するが、常用機のシャーシは板金屋に委託する。仕上がりが全然違うからだ。
凄く良く分かります上杉先生。ただ、発売するアンプの価格をもう少し下げていただくともっと良いのですが。私は先生のお言葉を受け、コンパクトな質の良いアンプ製作を目指します。

 

製作方針

宮甚さんから始まったこの製作、製作方針は次のとおりです。
⑴ お金をかけない。300Bプシュプルアンプを分解しUY-807プシュプルモノラルアンプを2台組み立てる。その他必要部品はスタンダードなものを使用する。
⑵ 小型コンパクトにする。QUADⅡと上杉佳郎アンプを手本にすることから製作姿勢も小型コンパクトとしました。
⑶ シャーシ加工から始める。実は私シャーシ加工や塗装は苦手です。過去の真空管アンプ製作時は、キットやツゲ電機でシャーシを作っていただきました。今回はシャーシ加工から始めようと思います。

完成後気付いたのですが、シャーシの裏蓋(足の付いた底板)はシャーシの大きさよりも1mm程小さくした方が良いようです。全面をシャーシよりも1mm内側に設置します。私はシャーシピッタリにしたため一寸不細工になってしまいました。(何故不細工に感じるのかは分かりませんが)自作シャーシが得意なYouTuberの宮甚さんも必ず裏蓋は小さめにカットされている様です。流石です。

↑ このUY-807も300B程ではありませんが蛍光がハッキリでます。これはとても綺麗ですが、部屋を暗くして音楽を聴いているとどうかしちゃったんじゃないかと心配されること必須です。

音質は

宮甚商店の宮甚さんが言ってました。「ダンピングファクターの低い音は嫌いじゃない」と、うーん良く分かります。ダンピングファクターは通常、トランジスタアンプの場合は100以上、真空管アンプの場合は良いものでも10位でしょうか。本アンプは4、5あれば良いとこで、トランジスタアンプとは比べ物になりません。
ところがJAZZを聴いてもクラシックを聴いても良い音なんです。特に重低音がグワングワン出て、流石は真空管アンプと言う音質です。巷で言われるブーミーな音ではありません。ブーミーとは100Hz前後が強調され収拾のつかない低音になる場合で、多極管の場合は、終段管の局部NFB(UL接続とかカソード帰還)が無い場合や全体のNFBが少ない場合に発生するものと思います。小口径のスピーカーの場合はそれが良い味付けになる場合もあると思いますが、一般的にはダンピングファクターは高いほど良いと言われてます。
しかし、私にとってはダンピングファクターが4、5位は丁度良いのかも知れません。トランジスターアンプの出力に1か2Ωの抵抗器を直列に挿入すればダンピングファクターが4か8になりますが、そんなものとは全然違います。(知らんけど)
でも、暫く使うとまた引き締まったトランジスタアンプの音が恋しくなること必須です。オーディオは変化ですから。
人間って飽きっぽい生き物です。